デザイナーのチャールズ&レイ・イームズ夫妻は、当時新素材だったプラスチックが身体の曲線にフィットするオーガニック(有機的)なシートシェルを作ることができる素材だと確信し、制作を開始します。1948年にニューヨーク近代美術館で開催された「ローコスト家具デザイン国際コンペ」のためにデザインされたチェアが現在のフォルムの原型になったと言われています。
イームズ夫妻が追求したのは、素材の特性をありのままに表現し、時代を超えてなお斬新で質の高いデザイン。1950年ハーマンミラー社から、ついに背と座面、そしてアームレストが一体成型された「シェルチェア」が発売されます。
軽量、かつ安価で大量生産が可能だった事と、シェルのシンプルなかたちにベースのバリエーションを持たせることで、様々なニーズに対応した展開が可能となり、家庭やオフィス、カフェ、レストラン、公共施設などで幅広く使用されていきます。その後、世界中の多くのデザイナーに影響を与え、現在では椅子のアイコン的存在として知られています。様々な製品を手がけたイームズ夫妻の残した傑作チェアです。
デザイン当時から使用されていたFRP素材でしたが、当時の技術ではFRPは再資源化ができませんでした。その後、環境への配慮の高まりから、シェルの素材が100%リサイクル可能なポリプロピレン(プラスチックシェルチェア)へと変更されます。
そして2014年、技術の革新によりリサイクルが可能となったFRP製(ファイバーグラスシェルチェア)のシェルチェアが復刻されました。デザイン当初にイームズ夫妻は自動車のプレス技術を応用した製造方法を検討していましたが、コストがかかりすぎるとの理由から断念されたそうです。時代を超えて思い描いたシェルチェアが待望の復刻を遂げました。
シェルチェアにはダイニングテーブルに合わせて使用する際に使い勝手の良いアームレストなしの「サイドチェア」と、ローテーブルに合わせてゆったり座れる「アームチェア」の2種類のシェルタイプがあります。
アームなしのサイドチェアは、座った際に背もたれに身体を預けると少し背もたれがしなります。固すぎない独特のしなりが良いすわり心地を生み出しています。アームチェアの方は肘のせがある分、ゆったりと楽なすわり心地です。サイドチェアとは異なり、背もたれのしなりはありません。
そして、様々なニーズに対応するためにデザインされたベースのバリエーションは現在は4種類。
シンプルなデザインだからこそ、脚部の違いで雰囲気が全く異なります。ダイニングやリビングなどお使いになる用途に合わせてお好みの組み合わせをお選びください。
ワイヤーベース
通称エッフェルベースと呼ばれる最もスタンダードなレッグタイプのシェルチェア。シンプルなシェルとワイヤーの組み合わせが繊細で見た目にも美しいモデルです。
4レッグベース
もともと脚と脚をつなぐためにX字状にロッドが入っていたため、この名残でDSX(アームチェアはDAX)と呼ばれています。シンプルな脚部なので座った際に内側に足を入れる事ができます。
ドゥエルレッグベース
最も存在感を放つドゥエルレッグ。複数の素材を美しく組み合わせるというイームズのデザイン手法が一層際立つ、見事な仕上がりのモデルです。
スタッキングベース
アームが無いサイドシェルチェアならではの、積み重ねが可能なモデルです。当初は教室などで使用するために小型のテーブルが付いたモデルもありました。
※サイドチェアのみの仕様です。
ウッドシェルチェアの場合はこのモデルはありません。
ロッキングベース
ロッカーベースと呼ばれるロッキングチェアのモデル。他のモデルに比べて、座高も低くく、すわり心地も快適でいつまでも揺れていたくなるようなチェアです。
※アームチェアのみの仕様です。
イームズ シェルチェアは座面の素材が異なる「プラスチックシェルチェア」と「ファイバーグラスシェルチェア」、「ウッドシェルチェア」の3種類が販売されています。
プラスチックシェルチェアは、シェル(座面)素材がポリプロピレン製のモデルです。100%リサイクル可能なポリプロピレンは、耐久性にも優れた素材で、お手入れも簡単です。座面の表面には非常に細かな凹凸があり(すわり心地には影響はありません)、ザラザラとした手触りの素材です。個体差はほぼなく、シェルは光沢感の無いマットな質感に仕上げられています。
座面と脚部を固定する部分までポリプロピレン樹脂で製造されています。脚部がシェルに直接金具で固定されています。
グラスファイバーシェルチェアは、1950年の販売開始時に使用されていた素材で、1989年に環境への配慮から生産が休止されていましたが、2014年にリサイクル可能な製造方法により再販が開始されたモデルです。オリジナルの風合いに近い8色展開で、座面にグラスファイバーの繊維素材が見えているのが特徴です。表面に光沢感があります。
座面と脚部を固定する部分にゴム製のマウントが使用されています。デザイン当初と同じくシェルに固定されたゴムマウントへ脚部が金具で固定されています。
イームズ ウッドシェルチェアのシェル(座面)は、ウッドベニアを複雑な曲線を持つ形に成型できる独自の成型技術を用いて製造されています。イームズ夫妻はデザイン当初から成型合板によるシェルチェアの製造を模索していましたが、当時の技術では製造に至りませんでした。時を経て技術の革新により、イームズ夫妻の長年の夢であったウッド素材のシェルチェアが実現しました。
座面と脚部を固定する部分にはファーバーグラスシェルチェアと同様にゴム製のマウントが使用されています。
※ウッドシェルチェアはサイドチェアのみで、アームチェアはありません。また、ウッドシェルチェアにはスタッキングベース仕様はありません。
※メトロクス札幌では店頭のみの取り扱い商品です。
※プラスチックシェルチェアはカラーバリエーションの変更があるため、ウェブショップでは一時掲載を見合わせております。ご検討のお客様はショップ(011-615-8777 / 水・木定休)へお問い合わせください。
イームズ シェルチェアDSR
イームズ シェルチェアDSX
イームズ シェルチェアDSW
イームズ シェルチェアDSS
イームズ シェルチェアDAR
イームズ シェルチェアDAX
イームズ シェルチェアDAW
イームズ シェルチェアRAR
Charles Eames(チャールズ・イームズ)[1907-1978]
Ray Eames(レイ・イームズ)[1912-1988]
チャールズ・イームズは1907年、アメリカのミズーリ州セントルイス生まれ。大学で建築を学んだ後、建築家として活動を始め、アーカンソー州に建てた教会がきかっけで、エリエル・サーリネン(エーロ・サーリネンの父)から注目され、1938年ミシガンのクランブルック芸術アカデミーに招かれます。同時期のクランブルック・アカデミーには、ハリー・ベルトイアやドン・アルビンソンなども在籍していました。
1940年には、この年クランブルック・アカデミーに入学してきたバーナイス・カイザー(後のレイ・イームズ)と出会います。この時期にエーロ・サーリネンと共に開発したモダンファニチャーデザインは、ニューヨーク近代美術館主催のコンテストで2つの大賞を受賞し、一躍注目を集めます。
翌1941年にレイと結婚。イームズ夫妻は1946年にハーマンミラーから販売した成型合板の家具をはじめとし、以降シェルチェアやラウンジチェアなど数々の名作家具、そして子供向けの家具やおもちゃなど様々な分野で活躍。多くの作品を世に送り出してきました。
余談ですがレイ・イームズは、チャールズが亡くなったちょうど10年後の同じ日(8月21日)に亡くなっています。
夫妻が残した名品の一つ、イームズ ラウンジチェア
メトロクス札幌(ハーマンミラージャパンの正規販売代理店)にてご購入された製品(新品)には「保証・取扱説明書」が付属しています。製品の設置および使用方法が正しくおこなわれている場合に発生した不具合につきましては、この保証書の内容に基づき、修理または交換の対応をいたします。シェルチェアには5年の保証期間が設定されています。
ご注意ください!
製品をどなたかに譲渡した場合(もしくは譲渡された場合)には品質保証は適用されません。
中古品および個人売買、またはネットオークション等で購入された製品にも品質保証は適用されません。
品質保証の内容
ハーマンミラーの判断により、機能回復のため、調整、必需部品の交換、または代替品の提供が保証されます。
修理や調整はお預かり修理が基本となります(製品によっては、国内に部品の在庫が無く、該当部品の輸入に3か月程かかる場合があります)。詳細は、商品に付属している「保証書」に記載されています。
製品の修理についてはショップまでお気軽にお問い合わせください。
修理の流れやご不明点をご説明いたします。
お電話でのお問い合わせ: 011-615-8777 12時〜19時まで(日・祝は18時まで)
メールでのお問い合わせはこちらから