Ulm Stool
Max Bill | 1954
Ulm Stool
Max Bill | 1954
旧西ドイツ・ウルムに開校した「ウルム造形大学」は、バウハウスの理念を継承する教育機関として1953年に設立され、バウスハウスで学んだマックス・ビルが初代学長を務めました。
マックス・ビルは、当時彼のアシスタントを務めていたハンス・ギュジョロとともに、学生達のためにスツールをデザインします。この時誕生したのが「ウルムスツール」です。サイドテーブルとしてなど椅子としての用途以外にも利用可能で、さらに片手で持ち運びやすい機能的な構造をしています。無駄な機能や意匠を極限まで削ぎ落としたこのプロダクトは、バウハウスの概念をそのまま受け継いだ象徴的スツールと言われています。
また、ウルムスツールは、組継ぎや相互矧ぎといった木工技術のみで組み立てられ、釘が一切使われていません。座面部分には柔軟性のあるスプルース材が、床に接する部分と横棒の部分には強度があるビーチ材がそれぞれ使用され、実用を想定した細やかな配慮がみられます。シンプルな造形だからこそ精度の高い細部の仕上げが光ります。
無駄な要素を省いた機能的な造形から生まれた、美しい佇まいのウルムスツール。スプルース材の美しい木目がシンプルな造形を際立たせています。スツールとしてはもちろんアイデア次第で様々な使い方ができます。
スイス、ヴィンタートウール生まれ。1994年没。マックス・ビルの名前は、コンクリートアートや環境デザインと結びつくことが多いが、彼はいわば多方面で活躍したスイス人「ユニバーサル・クリエーター」だ。 1924年から1927年にかけてチューリッヒで彫金の修業をし、その後、バウハウスでカンディンスキーやクレーのもとで学ぶ。1929年以降、画家、彫刻家、グラフィックアーティスト、建築家、そして後には工業デザイナーの顔ももつことになるが、当初は画家としての活動がメインだった。この時期の幾何学的且つ抽象的な作品の一つとして、「一つのテーマに対する15のバリエーション」(1935年-1938年)がある。
バウハウスの精神を継ぐべく、ウルム造形大学設立にも尽力した。彼の言葉を引用する。 「アートはかなりの部分、数学的思考によって作ることができると考える。私は数学を数字と記号のみを使った科学とみなすが、一方、アートは美の研究あるいは理論である美学を扱う、美に対する心理的反応であると思う。即ち、(アートは)数学のアンチテーゼなのだ」 現代美術の主要コレクションにマックス・ビルの作品は欠かせない。
マックス・ビルはその生涯で多彩な活動から多くの作品を残しました。メトロクス札幌で取り扱い中の製品をご紹介します。